2016年10月16日日曜日

交通事故に遭ったときに一番大事なこと その1〜良い病院を選ぶ

弁護士が交通事故被害者の方から依頼を受けるとき、その仕事内容は損害賠償の請求、つまりお金の回収です。回収できる金額の大きさは被害の大きさに比例するので、後遺症が重くなればなるほど被害者が受け取る金額も大きくなると言えます。しかし、実際のところ後遺症による被害は、お金なんかで補填されるよう なものではありません。後遺症なんてないほうが良いし、あったとしても軽ければ軽いほどいいに決まっています。重い後遺症が残ってたくさんのお金を受け取るよりも、ちゃんと怪我が治って、結果的には相手から取れる賠償金は少なくなる方がよいに決まっています。

ですから、交通事故に被害に遭ったときに一番大事なことは、事故後できるだけ早い段階から良い医療機関で治療を受けること、これに尽きます。当然のことながら私たち弁護士は法律家に過ぎませんから、医療機関の善し悪しについては門外漢です。要するに何が言いたいかというと、法律問題よりも先に大事なことがあるということです。

しかし門外漢とはいえ、仕事柄これまでにたくさんの医師とつきあってきていますし、プライベートでも整形外科医のお世話になった経験が豊富なので(骨折だけでもこれまでに7回やっています)、医療機関の選び方については一家言持っています。

 最も印象的だったのは、今から約20年前、大学で柔道の練習中に右肘の靱帯を伸ばされてしまったときのことです。当時、大学アメフト部の連中がお世話になっていた大川整形外科医院(現在は廃院し、なか整形外科が継承している)を受診したところ、ものの数分で肘の痛みを完全に取り除いてくれたのです。1週間後にギプスを外した後、リハビリを開始しましたが、リハビリの先生方(理学療法士)も皆さんハイレベルで、あっという間に僕の右肘は回復しました。それ まで怪我をしても実家近くの何でも診ている町医者しか行ったことのなかった私には、医療機関によって怪我の治り具合がこうも違うものかと本当に驚きでし た。

保険会社との交渉方法についてアドバイスを求めてこられた相談者の方に対して、「まず病院を変えてください」と助言することも少なくありません。法律事務所に相談に来られた段階では事故にあわれてからかなり時間が経ってしまっていることも多いのですが、それでもより良い治療を受けられるに越したことはあ りませんし、実は医療機関の良し悪しは最終的に得られる補償額にも影響を与えうるからです。そのため事務所に相談に来られた方には、あくまで私見ではありますが、私が信頼している医療機関をご案内することもあります。

個別のクリニック名などをここであげるのはさすがに憚られるので、一般的なことだけ書いておこうと思います(あくまで私見です)。これまでの私の経験からすると、公立病院もしくは公益団体が運営している病院の整形外科が当たり外れが少ないように思います。そういうところの勤務医は概して真面目で勉強熱心 で、そのため最新の治療にも通じており、1人1人の患者のために一生懸命になってくれる人が多いというのが私の感覚です。

また、健康保険を使いたいと言ってみるのも、医療機関の良し悪しを見分ける有効な手段です。「交通事故には健康保険は使えません」という病院は、医療水準も低いと考えてまず間違いありません。その理由については、また今度。



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