2016年7月15日金曜日

「翻訳できない世界のことば」


我々の話している日本語とは発想も表現も全く異なる、とてつもなく美しい言語がこの国にあることを教科書で知り、アイヌ文化に憧れた。中学のときだったか高校のときだったか定かでないけど、特定の月明かりだけを形容する同じように美しいスウェーデン語に触れて、その時のことを思い出した。


そうか、ぼけーっと何にも考えてない状態を形容する言葉は他国の人にとってユニークなのか。明治維新以降だけ見ると常に忙しく立ち回ってるのが日本人の性のように思えるけど、もしかしたら数千年に及ぶ日本語が形成されてきた時間の中では、むしろ今のような時代の方が例外なのかもしれない。


以前のブログにも書いたけど、言語と言語は基本的に互換性がない。翻訳する過程でどうしても原語のニュアンスがこぼれ落ちてしまう。だからこそ、いつも未知の文化に誘ってくれる他言語学習は何とも魅力的で楽しい。その楽しさが素敵なイラストとともにパンパンに詰まったこの本の中でも、僕が一番惹かれたのはこのフィンランド語poronkusema。


トナカイが休憩なしで疲れず移動できる距離を一言で言い表す、そんな言葉を持ちながら暮らしている人たちがこの地球上にいることを想像するだけで胸がときめいてしまうのです。









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