2016年3月22日火曜日

英語が難しい理由

いま巷では簡単に、あるいは短期間に英語を身に付けられることを謳う本や教材が溢れている。しかし、英語習得は日本語話者には難しい、この動かしがたい事実を直視することこそが上達への近道だというのが僕の持論。

なぜ英語習得は日本語を母語とする者にとって難しいのか。それは文法、発音発話、語源その他文化的背景、言語を構成する全ての要素において日本語と英語は全く違う、というかむしろ真逆だから。

日本語と英語では文法構造が全く違うこと、これが最大のネック。英語では主語の次に動詞が来る、これによりリスニングも難しくなるけど何より話すこと=スピーキングの障害がものすごく大きくなる。主語の次に動詞や助動詞が来る発想に頭を切り換えるのは本当に大変なことで、「思ったことが話せない」というのは日本語話者にとって当たり前のこと。語順が違うと単に単語の並び方が違うにとどまらず、表現を練り上げるときの発想が根本的に違ってくる。そのため日本語話者は、前のブログにも書いたように、意味の似た単語を変換させていくのではなく「英語話者ならどう言うか?」と発想を完全に切り替えなくてはならなくなる。

英語学校でクラスメイトだったトルコ人女性とこの話題で盛り上がったことがある。彼女に教えてもらって初めて知ったけど、トルコ語も日本語と同じ文法構造らしい。そのためトルコは現在では筆記文字としてアルファベットを導入しているが、やはり英語のスピーキングが苦手だと言っていた。ちなみに彼女は夫の仕事の関係でしばらく仙台に住んでいたため、日本語は堪能だった。

これに対して英語と同じ文法構造を持つ言語、例えばドイツ語やスペイン語圏の人々は、英単語を暗記して母語と入れ替えていくだけで英語をしゃべれるようになるようだ。想像に過ぎないけど、中国標準語を母語とする人たちも英語習得にはそんなに苦労していないんじゃないだろうか。
主語→動詞→目的語という語順が同じなら、自分の母語と近い英単語をチョイスして入れ替えていくだけで、だいたい言いたいことは言えるのだろう。移民を主たる対象としているバークレー市アダルトスクールのESLクラスに来ている生徒には、けっこう流暢に英語を話すわりにライティングや文法が苦手な人も少なくなかった。スペイン語などを母語とする彼らにとっては、日常生活で多用することもあり、スピーキングが最も自然に身につけられる英語能力なのかもしれない。

僕ら日本語話者は、日本語と語順が同じ外国語であれば、きっと英語ほどには苦労せず習得できるのだろう。例えば、朝鮮韓国語やトルコ語、ビルマ語など。そう考えると、大英帝国に成り代わって世界を支配する国がアメリカではなく、せめて日本語と同じ語順を母語とする国であれば良かったのになどと不埒なことも考えてしまう。残念ながら、そんな夢想をしていても英語はいっこうに上達しない。

次回は2つめの理由、発音発話の壁について。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。